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オスグッドシュラッター病の治療とリハビリについて

■オスグッドシュラッター病とは

オスグッド・シュラッター病(以下オスグッド病)は、太もも前の筋肉(大腿四頭筋)から膝のお皿(膝蓋骨)を介して、すねの骨につながる膝蓋腱という腱が脛骨結節という部分を強くひっぱることで発症する骨端症の一つです。小学校高学年から中学生くらいのスポーツ競技をしている子どもに多く、膝の痛みや腫れ、熱っぽさといった症状が見られます。

「単なる成長痛」と思われることも多いですが、重症化したり、難治性になったりし、成長期の子どものスポーツ能力の向上を妨げたり、後遺症として膝の痛みが残存することもあります。また、改善が可能な原因があることが多く、適切な治療や発症予防が重要になります。


■原因


オスグッド病は成長期で骨が未熟であるという直接的な原因に加えて、以下のような状態が組み合わさることで脛骨結節部を膝蓋腱が引っ張る力が増大し、発症しやすくなります。

① 柔軟性の低下

成長期の子どもの体では、骨の成長スピードに筋肉や腱などの成長が追いつかず、筋肉の柔軟性や強度が低下しやすくなっています。大腿四頭筋(太もも前の筋肉)は脛骨結節に直接つながっていく筋肉であり、この部分の柔軟性の低下はオスグッド病の発症リスクを高めます。

② 筋力の低下

股関節周囲や体幹の筋力が低下すると不良動作や不良姿勢になりやすく、その状態で運動をすることで膝にかかる負担が強くなってしまうことがあります。

③ 不良動作の反復

骨盤が後傾したような姿勢でスポーツ動作(ジャンプなど)を行うと、身体の重心が膝関節から遠くなるため膝にかかる負担が強くなりやすいです。
 

④ 練習のしすぎ

成長期の骨は大人に比べ未成熟であり、練習をしすぎることで上記のような原因がみられなかったとしてもオスグッド病を発症することがあります。

 

■診断


症状の問診や痛みの評価、スポーツ活動の確認などに加え、骨の成長段階の評価やオスグッド病の進行状態を確認するためにX線検査やMRI検査、エコー検査を行うことがあります。

■セルフリスクチェック


一例ではありますが、以下の項目が当てはまる方はオスグッド病の発症リスクが高いといえますのでチェックしてみましょう。

① 大腿四頭筋の柔軟性の低下
踵がお尻につかない場合、大腿四頭筋の柔軟性の低下が疑われます。



② ハムストリングの柔軟性の低下
指先が床につかない場合はハムストリングの柔軟性の低下が考えられます。
 

③ 骨盤後傾姿勢での動作習慣

腰が丸まったような姿勢でのジャンプやステップなどの動作が習慣化していると膝関節への負荷を強めます。


■オスグッド病の治療法


◎基本はスポーツ活動量の調整が重要

症状の強さや骨の成長段階に応じて、スポーツ活動の量を調整することが必要です。軽症の場合、短期間のスポーツ競技の休止とリハビリテーションにより、症状の早期完治が可能ですので、一定期間の運動休止とリハビリテーションを併用することが理想です。症状や骨成長の段階によってはスポーツ活動を休止しなくても症状の改善がみられることがある一方、難治性になり、運動休止をしなければ後遺症を残すような状態もあるためそれぞれに合わせた治療を行うことが重要です。

 

◎装具療法

脛骨結節を膝蓋腱が引っ張る力を軽減させるための専用サポーターの使用も有効です。

 

◎理学療法士の指導のもとリハビリテーションを行う

原因のところでも述べたように、オスグッド病は、骨が未熟であるという直接的な原因に加えて、①柔軟性の低下 ②筋力の低下 ③不良動作の反復といった改善が可能な原因が組み合わさることで発症します。運動やスポーツ活動の休止により、症状は改善しますが、これらの原因を解決していないと再発を繰り返すことになり、難治性になることが多いです。再発を防ぐためには、理学療法士やスポーツ専門医など専門家の指導のもと、筋力トレーニングやストレッチング、不良動作の改善などの適切なリハビリテーションを行い、膝に負担をかけにくい体づくりをすることが重要です。


① 柔軟性の改善

 

ハムストリングのストレッチング

大腿四頭筋のストレッチング



■早期にスポーツ競技に復帰するためのポイント

◎症状に合わせてスポーツ活動量を調整する

痛みを我慢して運動を続けると、症状が悪化して結果的にスポーツ休止期間が長くなったり、成長期が過ぎても後遺症が残ったりすることがあります。スポーツ競技の休止に抵抗を感じる方も多いですが、早期復帰を目指すためにも、専門医や理学療法士の指示のもと、スポーツ活動量の調整が大切です。

 

■オスグッド病でお悩みの方は早めに専門医にご相談を

オスグッド病は、早期に発見し適切な治療を受ければ早期に治ることが多いです。その反面、痛みを放置して発見が遅れたり、無理をしてスポーツ競技を続けたりすると、難治性になり、スポーツ能力の向上を妨げたり、将来に影響することもあり、軽視できない疾患です。当院ではスポーツ専門医と理学療法士が在籍しているため、スポーツ種目に合わせた最適な治療を提供できます。膝に痛みがある方、オスグッド病で悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。

 


にしはら整形外科スポーツクリニック
院長
西原 淳


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