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足関節捻挫の治療とリハビリテーションについて



 足関節捻挫はスポーツで生じる怪我の中で最も頻繁に生じる疾患です。捻挫の再発率は50~70%と非常に高く、繰り返しの捻挫により慢性足関節不安定症に移行することもあります。また、痛みを避けるような動作を続けることで、膝や股関節、腰部などその他の部位の将来的な疾患の受傷のきっかけとなったりもします。そのため、適切な治療、リハビリテーションが重要になってくる怪我の一つです。今回はそんな足関節捻挫についてお話していきます。

 

 

◎受傷原因

 足関節は内反(内側にひねる動き)方向の可動性が高く、スポーツ中や歩行中などに過度に足関節が内反することで受傷します。足関節外側にある前距腓靭帯や踵腓靭帯、腓骨筋や二分靭帯などの外側の靭帯や軟部組織が、引き延ばされるストレスに耐え切れず損傷し受傷します。重度の場合は骨挫傷や軟骨損傷を引き起こしたりすることもあるため注意が必要です。



 サッカーやバレーボール、バスケットボールなどの競技での受傷が多く、急なストップ動作やターン、他の選手の足の上に乗ってしまうなどの受傷原因が多くを占めます。一度足関節捻挫を経験すると、足関節の可動性の低下や足関節周囲の筋力やバランス能力の低下を起こしやすく、なんともないところでひねってしまうということもよく生じます。

 

◎診断

 症状の問診や痛みの評価、受傷機転、スポーツ活動の確認などに加え、関節の不安定性の評価や骨折の有無、靭帯損傷の有無などの評価のため、各種ストレステストやX線検査やMRI検査、エコー検査を行うことがあります。

 

◎重症度分類

Ⅰ度(軽度):前距腓靭帯の部分損傷

Ⅱ度(中等度):前距腓靭帯の完全損傷

Ⅲ度(重度):前距腓靭帯、踵腓靭帯の完全損傷

 

■足関節捻挫の治療

 

受傷後各時期におけるリハビリテーションの内容

◎急性期(受傷後数日)はPRICE処置により腫脹の軽減を目指すことが重要

 捻挫をし、足関節周囲の組織の損傷があると、人間の身体の中では自然治癒の過程で炎症が起こり、腫脹(腫れ)が生じます。この腫脹が長引いたり、重度であると、足関節可動域の制限や筋力の低下などの後遺症を残すことが多く、急性期ではこの腫脹をいかに引かせるかということが重要です。そのためのPRICE処置というものを紹介します。

P: Protect:保護:さらなる捻挫や足関節へ負荷を軽減するために、初期にギプスや装具の固定により患部を保護することがあります。

R: Rest:休養:激しい運動をすることで患部への血流量が増え、腫脹の悪化につながります。捻挫直後数日の急性期は激しい運動は避けることが望ましいです。

I: Icing:冷却:患部への血流量を軽減させるために患部への冷却を行います。

C: Compression:圧迫:腫脹の軽減のために患部を包帯などで適度に圧迫します。

E: Elevation:挙上:患部が心臓より下の位置にあるほど腫れやすいため、患部を高い位置に保つことが重要です。

 

 加えて、傷ついた組織の修復を早める作用があるといわれているマイクロカレント療法(MC)を行うこともあります。MCは人体にはほとんど感じることのないレベルの弱い電流を流し、治癒を促進する治療法です。筋肉や神経に刺激を与える低周波治療などは炎症の増悪につながるため急性期には使えませんが、MCでは受傷直後の急性期から使うことができるため、競技復帰を早めたい方などにも効果的です。(当院でも治療可能)

 


◎回復期では関節の正常運動、筋力、可動域の再獲得のためのリハビリテーションが重要

 この時期では炎症期に生じた足関節の可動域制限、筋力低下、機能不全、バランス能力の低下などの足関節機能の改善を図ることが重要です。捻挫を受傷した方の多くが痛みは消失しているからと、この段階で足関節の機能不全を残したまま競技復帰をしてしまっています。この機能不全により繰り返しの捻挫を受傷したり、慢性足関節不安定症に移行したりするため適切なリハビリテーションが必要です。リハビリテーションでは、関節可動域や筋力、バランス能力の改善、筋協調性の改善、不良動作の改善、競技動作練習などを行い、段階的に競技に復帰していきます。

 

・関節可動域運動


・バランス能力や筋協調性の改善


・不良動作の改善

(良好なつま先立ち)

(足の外側で地面を踏んでいる捻挫をしやすいつま先立ち)



■早期にスポーツ競技に復帰するためのポイント
 ☆急性期の適切なPRICE処置が重要
 ☆足関節可動域の制限を残さないこと
 ☆足関節周囲筋力を早期に回復させること

 

■足関節捻挫受傷後や足関節捻挫後後遺症でお悩みの方は早めに専門医にご相談を

 足関節捻挫はスポーツ現場で最も多く見られる怪我であるため、身近な怪我である一方、軽視され、無理に早期の競技復帰を行ったり、適切なリハビリテーションを行わず、後遺症を残すことも多いです。当院ではスポーツ専門医と理学療法士、柔道整復師が在籍しているため、患者様それぞれの状況にあわせて、治療、リハビリテーションを提供します。足関節捻挫を受傷した方、足関節捻挫後の後遺症に苦しんでいる方は、お気軽にご相談ください。


執筆者:理学療法士 小林 拓未